1. トップ
  2. お役立ちコラム
  3. 電気伝導率とは?

HOW TO

お役立ちコラム

  • お役立ち記事

電気伝導率とは?

1.電気伝導率とは?

電気伝導率とは、水(水溶液)の性質を知るための重要な指標の一つで、「水中の電気の流れやすさを示す指標」です。
水は様々な性質がありますが、何も混ざっていない純粋な「水(H20)」は、電気を通さない性質を持っていますが、水には様々な物質を溶かす性質もあり、多くの場合、物質が溶け込むと電気が流れやすくなりますので、電気伝導率とは水の中にどれくらいの物質が溶け込んでいるか(イオン化しているか)を示す指標と言えます。

身近に存在する水を例に取ると、塩分がたくさん溶け込んでいる海水では、伝導率は非常に高くなり、一方で、雨水、河川水などは溶け込んでいる物質が少ないため、伝導率は低くなります。伝導率の低い水が汚染されると伝導率が上昇することから、雨水、河川水に対する汚染の指標にもなっており、その他、半導体の洗浄水や医薬用水の管理、冷却水や循環水の管理、排水や植物工場の液肥の管理など、様々な業界・用途で活用されています。
※砂糖など、水に溶けてもイオン化しない物質もあり、その場合は電気が流れず、伝導率はあまり変化しません。

電気伝導率の用途別の水質レンジについては、こちらのコラムに詳しく掲載していますので、ご参照ください。

→電気伝導率計、電気抵抗率計の用途別レンジ

2.電気伝導率の測定方式

■交流2電極方式

2つの電極を水溶液の中に入れ、交流電気を流し、電極間に流れる電流を測定して、水溶液の伝導率を測定する方式です。検出器の構成が簡単なので小型にでき、純水や超純水など、低い伝導率測定に適しています。

【交流2電極方式 測定イメージ図】

■交流4電極方式

2電極方式と同様に、電極を水溶液の中に入れて、交流電気を流し、電極間の電流から、伝導率を測定しますが、電源用の電極と測定用の電極に分けて測定を行います。電極を分けることで、分極の影響を受けにくく、汚れに強い特長があり、高い伝導率測定に適しています。

【交流4電極方式 測定イメージ図】

■電磁誘導方式

送電用と受電用の2つのコイルを内蔵したセンサーを水溶液に入れて測定を行います。送電コイルに印加された交流電源は磁界を発生させ、測定水溶液に誘導電流を発生させます。この誘導電流を受電コイルで検出し、その強弱から伝導率を測定します。接液部を耐食性に優れた部材で製造することが可能なので、高濃度の酸やアルカリ溶液の測定に適しています。
【電磁誘導方式の測定イメージ】

Sensingeyeの水質計は一部の製品を除き、交流2電極方式を採用しており、超純水~1000μS/cm(水道水クラス)の比較的きれいな水の管理や計測を得意としています。

◆補足情報

電気伝導率測定法は、JIS規格などによって定められており、JIS K 0130「電気伝導率測定法通則」では、「溶液の電気伝導率は、面積1㎡の2個の平面電極が距離1mで対向している容器に電解質水溶液を満たして測定した電気抵抗の逆数で示される」となっています。その他、ISO7888やASTM D1125などの国際規格があります。

3.センサーの形状

JIS規格にあるような、面積が1㎡の電極を配管内に設置すると、巨大設備になってしまい、現実的な大きさではなくなってしまうので、実際の交流2電極方式のセンサー形状は、2本の円柱型電極で構成されている円柱型や、電極が内極と外極で構成されている円筒型のものがあります。円筒型のセンサーは、電界の広がりが狭く安定しているため、設置空間の影響を受けにくい特徴があります。

【交流2電極方式のセンサー形状】

4.温度の影響

水の電気伝導率は温度の上昇に伴い、水溶液中のイオンの動きが活性化されることなどにより、値が高くなります。このため伝導率の測定は、一定温度で測定することが望ましいのですが、使用状況などにより、温度を一定にすることは難しいため、水温を測定し温度と伝導率の関係から係数を求め、伝導率を25℃での値に換算して表示します。
この機能を温度補償と言い、Sensingeyeの水質計は全ての機種で温度補償機能を標準で搭載しています。
温度補償の詳細については、こちらのコラムをご参照ください。

→温度補償について

5.測定単位

測定単位は一般的に、
電気抵抗率(電気の流れにくさ)は、MΩ・cm(メグオーム・センチメートル)、
電気伝導率(電気の流れやすさ)は、μS/cm(マイクロジーメンス毎センチメートル)
という単位が用いられます。
SI単位では[S/m]で、その他、[mS/m]、[kΩ・m]などが使われます。

◆補足情報

なぜ2種類の単位を使用しているのか?

①水質変化のわかりやすさ
純水や超純水のなど電気伝導率が低い水溶液を管理する場合、水質変化が判りにくいこともあるので、電気抵抗率を使用して管理を行っています。

電気抵抗率で1MΩ・cm変化しても、伝導率だと約0.003μS/cmの変化になってしまい、水質変化がわかりにくく、小数点第2位までの表示だと、0.06μS/cmから変化がないように見えてしまうので、電気抵抗率を使用して、水質変化をわかりやすく確認できるようにする場合もあります。
逆に、RO水や水道水などの10μS/cmの水溶液を抵抗率で管理すると、水質変化が分かりにくくなってしまうので、抵抗率は、純水・超純水の管理で使用されることがほとんどです。

②各業界の基準や慣例

各業界で定める基準・法令やこれまでの慣例などにより、使用する単位が異なっている場合があります。
主に電気抵抗率を使用する業界:半導体、液晶、化学薬品、水素、チラーなどの業界で使用
主に電気伝導率を使用する業界:医製薬、食品・飲料水、化粧品などの業界で使用

CONTACT

お問い合わせ

水質管理でお悩みなら、
まずはお気軽にお問い合わせください。
「技術」と「機能」で
新しい顧客ニーズに幅広く対応します。